暁に星の花を束ねて
その瞬間、葵は言葉を失った。
会いたかった。
訊きたかったことも山ほどあった。
けれどそのどれも、声にならなかった。
彼の背負ってきた時間の重さが、胸に迫ったからだ。
「ごめんなさい……。佐竹さんが苦しくなったのは、わたしのせいです。 玉華さんの目も……!
わたしの勝手な行動で危険な目に合わせてしまいました」
胸の奥に、ずしりと沈む重みがあった。
あの暗い廃棄施設で、玉華が目の前で視界を失った瞬間が、いつまでも脳裏に焼きついて離れない。
あの白く濁った光。
玉華が痛みをこらえながら微笑んだ姿。
あんなふうに笑われるほど、苦しかった。
「わたしがメールを確かめに行かなければ、玉華さんの目は……失われませんでした」
声が掠れ、喉の奥がぎゅっと締め付けられる。
彼女を守ろうとしてくれた人が傷ついた。
自分のせいで。
その事実が、何よりも耐えがたかった。
葵は涙をこぼすまいと唇を強く噛んだ。
「全部……わたしのせいなんです」
自分を責める気持ちを止められなかった。
葵を見つめ、佐竹は小さく首を振った。
「おまえのせいじゃない。玉華は自分の意思で動いた。あの時も、今も。そしておれもだ」
その声は静かで、胸を刺すほど真っ直ぐだった。
ふたりの視線が交わる。
十年の時が、静かに重なる。
会いたかった。
訊きたかったことも山ほどあった。
けれどそのどれも、声にならなかった。
彼の背負ってきた時間の重さが、胸に迫ったからだ。
「ごめんなさい……。佐竹さんが苦しくなったのは、わたしのせいです。 玉華さんの目も……!
わたしの勝手な行動で危険な目に合わせてしまいました」
胸の奥に、ずしりと沈む重みがあった。
あの暗い廃棄施設で、玉華が目の前で視界を失った瞬間が、いつまでも脳裏に焼きついて離れない。
あの白く濁った光。
玉華が痛みをこらえながら微笑んだ姿。
あんなふうに笑われるほど、苦しかった。
「わたしがメールを確かめに行かなければ、玉華さんの目は……失われませんでした」
声が掠れ、喉の奥がぎゅっと締め付けられる。
彼女を守ろうとしてくれた人が傷ついた。
自分のせいで。
その事実が、何よりも耐えがたかった。
葵は涙をこぼすまいと唇を強く噛んだ。
「全部……わたしのせいなんです」
自分を責める気持ちを止められなかった。
葵を見つめ、佐竹は小さく首を振った。
「おまえのせいじゃない。玉華は自分の意思で動いた。あの時も、今も。そしておれもだ」
その声は静かで、胸を刺すほど真っ直ぐだった。
ふたりの視線が交わる。
十年の時が、静かに重なる。