暁に星の花を束ねて

認証名

調和部門でも、その情報は流れていた。


「佐竹部長が逮捕!?」
「何があったの!?」


研究員たちが動揺し、ラボの空気が震えていた。

そんな室内に片岡の姿があった。

「片岡課長!! 」

姿を見つけた葵が胸が潰れそうになりながら走り寄る。

「佐竹さんが逮捕されたんですか? 行方不明って本当なんですか……!?」

片岡は唇を固く結び、静かにうなずいた。

「はい。それが……部長は予測していたようなのです」

「予測?」

「ええ。先日の誘拐事件後、部長はおれに『もしもの時はおまえが動け』とだけ。……ただ、そのもしもが、まさかこんな形とは思いませんでした」

片岡の拳が、机の下でわずかに震えた。

「しかも……」

片岡は苦々しく目を伏せた。

「部長の端末、ブリーフィングルームのバックアップ、私物のサブデバイス……すべて、痕跡ごと持ち去られていました。何ひとつ、残っていません」

「……そんな……」

「まったく手がかりがなくて。星野さんなら、何か佐竹部長から聞いていたのでは、と思ったのです」


葵は自分の鼓動が耳元で鳴り響くのを感じた。


佐竹が予測していた?
予測していて、なお黙って行った?


だとすれば、この消失はただの不運ではない。
佐竹蓮が選んだ行動そのものだ。

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