暁に星の花を束ねて
葵は唇を結び、呟いた。
「……わたし、そんな、こと……何も……」
聞いてない。
だがその瞬間、脳裏に記憶が蘇った。
彼がふとした口にした、あの言葉。
『褒美をやろう。パスワードを名前にしておいてやる』
(……!!)
『機会があれば見てもいいぞ。開く時があればな』
冗談めいた響きだった。
(まさか……)
掌が汗ばむ。
胸が痛むほど早く鼓動する。
「もしかしたら……!! ひとつだけ、あるかもしれません!!」
その言葉に、片岡が勢いよく顔を上げた。
葵は思いだしながら、片岡を見つめ口を開く。
「温室の端末なんですけど……佐竹さんが、わたしの名前をパスワードにしたって云ったんです。褒美だって」
片岡の瞳が一気に鋭く光った。
「星野さん、その端末……! 開きましょう!!」
葵は小さく息を呑み、二人は温室へと駆け出した。
「……わたし、そんな、こと……何も……」
聞いてない。
だがその瞬間、脳裏に記憶が蘇った。
彼がふとした口にした、あの言葉。
『褒美をやろう。パスワードを名前にしておいてやる』
(……!!)
『機会があれば見てもいいぞ。開く時があればな』
冗談めいた響きだった。
(まさか……)
掌が汗ばむ。
胸が痛むほど早く鼓動する。
「もしかしたら……!! ひとつだけ、あるかもしれません!!」
その言葉に、片岡が勢いよく顔を上げた。
葵は思いだしながら、片岡を見つめ口を開く。
「温室の端末なんですけど……佐竹さんが、わたしの名前をパスワードにしたって云ったんです。褒美だって」
片岡の瞳が一気に鋭く光った。
「星野さん、その端末……! 開きましょう!!」
葵は小さく息を呑み、二人は温室へと駆け出した。