暁に星の花を束ねて
灰になるまで
佐竹は目を覚ました。
その瞬間、世界が音を取り戻した。
逮捕劇から正確に二時間と十四分。
それは、劇場の最終幕を開けたと記すにふさわしい時間だった。
薄暗い部屋。
天井から吊るされた二つの監視球が、無言のまま人の呼吸を測っている。
空調の音すらない。まるで真空に近い静寂。
佐竹蓮はまず呼吸を確認し、次に両腕と両脚が拘束されていることに気づいた。
ナノカーボン製。
自らがかつて仕様策定に関わった戦略部門製の拘束具。
皮肉だった。
要人を守るために設計されたものが、いま自分を縛っている。
「自分で設計した檻で眠るとはな」
薄く笑い、拘束具の繋ぎ目を指先で探る。
手首をわずかに捻るだけで、振動の伝導率と材質の劣化度を確かめていた。
掠れた声で呟き、ゆっくりと目を細める。
その視線は、すでに空間の隅々を読み取っていた。
夢から覚めた虎。
あるいは戦場に帰還した獣。