暁に星の花を束ねて
新入社員挨拶がひと通り終わり、調和部門課の三人の課長が挨拶を述べる。
・生態調整フィールド試験課
課長篠原 蒼司(しのはら そうじ 42歳)
(現場主義で実地に強いベテラン、飄々とした語り口)
「お疲れさま。生態調整フィールド試験課の篠原です。
現場に出ることが多い部署なんで、スーツより長靴が似合う職場だと思ってもらえばいい。
自然は人間の思い通りにはならない。だからこそ、観察して、理解して、寄り添う。──そういう仕事です。
ま、気楽にいきましょう。無理せず、でも逃げずにね」
・ 調和医療応用課
課長八重樫 澪(やえがし みお 35歳)
(静かで理知的、研究への信念が強い)
「はじめまして。調和医療応用課の八重樫です。
私たちの課では、ナノ毒に対する血清や治療法の開発に取り組んでいます。
人の命に関わる技術という重みを忘れず、でも恐れず、共に歩んでいただけたら嬉しいです。
──どうぞ、よろしくお願いいたします」
・ バイオリスク管理課
課長シュロ=アンダース(33歳)
(クールで論理的。厳格だが公正)
「バイオリスク管理課のアンダースです。
私たちは“最悪のケース”に備える部署です。研究とは、美しさだけでなく、責任も伴うもの。
皆さんには安全の重要性を、早い段階から理解していただきます。
規則は守るためにある。自由を守るために、です。──健闘を」
なお、このセレモニーには、調和部門統括である馬渡遼(まわたり りょう)は出張のため不在だった。
白衣にグレーカーディガンを合わせた柔和な雰囲気の理系エリートで、佐竹部長と並ぶ社内屈指の美形として知られている。
佐竹とは対照的に温和で物腰の柔らかい人物だとも云われており、その穏やかな微笑みの奥に、何かを見透かすような冷静さを宿しているとも云われていた。
(馬渡統括……後で会えるかな……)
そんなことを思っていた葵。
抑えた声でありながら、浮ついた調子がすぐ近くから弾むように響く。
・生態調整フィールド試験課
課長篠原 蒼司(しのはら そうじ 42歳)
(現場主義で実地に強いベテラン、飄々とした語り口)
「お疲れさま。生態調整フィールド試験課の篠原です。
現場に出ることが多い部署なんで、スーツより長靴が似合う職場だと思ってもらえばいい。
自然は人間の思い通りにはならない。だからこそ、観察して、理解して、寄り添う。──そういう仕事です。
ま、気楽にいきましょう。無理せず、でも逃げずにね」
・ 調和医療応用課
課長八重樫 澪(やえがし みお 35歳)
(静かで理知的、研究への信念が強い)
「はじめまして。調和医療応用課の八重樫です。
私たちの課では、ナノ毒に対する血清や治療法の開発に取り組んでいます。
人の命に関わる技術という重みを忘れず、でも恐れず、共に歩んでいただけたら嬉しいです。
──どうぞ、よろしくお願いいたします」
・ バイオリスク管理課
課長シュロ=アンダース(33歳)
(クールで論理的。厳格だが公正)
「バイオリスク管理課のアンダースです。
私たちは“最悪のケース”に備える部署です。研究とは、美しさだけでなく、責任も伴うもの。
皆さんには安全の重要性を、早い段階から理解していただきます。
規則は守るためにある。自由を守るために、です。──健闘を」
なお、このセレモニーには、調和部門統括である馬渡遼(まわたり りょう)は出張のため不在だった。
白衣にグレーカーディガンを合わせた柔和な雰囲気の理系エリートで、佐竹部長と並ぶ社内屈指の美形として知られている。
佐竹とは対照的に温和で物腰の柔らかい人物だとも云われており、その穏やかな微笑みの奥に、何かを見透かすような冷静さを宿しているとも云われていた。
(馬渡統括……後で会えるかな……)
そんなことを思っていた葵。
抑えた声でありながら、浮ついた調子がすぐ近くから弾むように響く。