暁に星の花を束ねて

「まず初めに。
今回の混乱により社会に不安を与えたことを、深くお詫び申し上げます」


言葉は淡々としている。
だが、そこに逃避も曖昧さもない。

「我々SHTは、内部統制の乱れと、特定個人の暴走により危機に瀕しました。
しかし。
倒れるためではなく、再び立ち上がるために組織は存在します」


佐竹は続ける。

「まず、カグツチ未来交易戦略機構(GQT)の件について」

ざわめきが広がる。


「国際監査院と協議の結果、GQTはSHTの監督下に置かれます。
これは制圧ではなく、安定化です。
混乱を最小限に抑え、技術の流出と悪用を防ぐ。
それが我々の責務です」


世界市場は、この言葉を待っていた。


「SHTは、いかなる暴力にも屈しません。
いかなる恐怖にも沈みません。
影が世界を守るのは、当たり前のことです」


その言葉に、国際ジャーナリストたちが一斉にシャッターを切る。


「そして社員諸君へ」


スクリーンに、全国・全世界のSHT社員の顔が映し出される。


「私は、君たちがこの五日間、会社を守り抜いたことを誇りに思う。
恐怖の中でも働き続けた者、声を上げた者、仲間を支えた者。
その努力が、今のSHTを繋いでいる」

葵の目にも涙が滲む。


「私はこの会社を、誰かの野望の舞台にはしない。
SHTは君たちのものだ。
私の仕事は、その未来を整えるだけだ」


拍手は起きない。

誰も動けなかった。

ただ圧倒的な重さに言葉を奪われていた。

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