暁に星の花を束ねて
質疑応答の時間に入る。
照明がわずかに落とされ、会場の空気が再び張り詰めた。
拍手は、まだない。
ただ数百の視線が、佐竹に突き刺さっている。
司会者が告げる。
「これより、質疑応答に入ります」
最初に手を挙げたのは最前列に座る海外メディアの記者だった。
「ニューヨーク・グローバルタイムズです」
低く、はっきりとした英語訛りの声。
「佐竹CEO。
あなたは数日前まで監禁状態にあったと報道されています」
会場が、わずかにざわつく。
「その状況で、この場に立つ判断は適切だったのでしょうか。
体調は、本当に問題はないのですか」
佐竹は即答しなかった。
ほんの一瞬、呼吸を整える。
そして、淡々と口を開いた。
「ご心配には及びません」
低い声。
「現在、私は回復過程にあります。
立って話すことに支障はありません」
それだけでは、終わらない。
「治療には、当社研究部門が開発中の治療技術
を使用しています。詳細については、研究部門より改めて説明の場を設けるつもりです」
その言葉に会場が静まり返った。
別の記者が、間髪入れずに続ける。
「ロンドン・フィナンシャルレビューです。
開発中、という言葉を使われましたね。
それはつまり、未承認の治療薬を自身に使用したということですか」
空気が、さらに冷える。
「企業トップとして、倫理的に問題はないとお考えですか」