暁に星の花を束ねて
「ねえねえ、聞いた? 佐竹部長が交流ランチしようって云ってるんだって!」
ざわめきが一気に弾けた。
「最初の相手は研究部門だって!」
「やったーっ!」
調和部門のラボは大騒ぎだ。
その隅で調和部門室長、桂木 恭一(かつらぎ きょういち)が小さく呻いた。
年齢は四十五歳。
淡い銀灰色の髪は丁寧に整えられているが、こめかみに刻まれた浅い皺と、疲れのにじむ青白い顔色がその年齢以上の疲労を物語っていた。
胃の奥が焼けるように痛み、そっと息を漏らし冷たい額に手を当てた。
「は、はは……佐竹戦略部門部長が、こちらに……。い、一体何を云われるやら……」
「あらあら、桂木室長……大丈夫ですよ」
ふいにかけられた声に、桂木はびくりと肩を震わせた。
振り向けば戦略部門課長――朝倉 楓(あさくら かえで)が、扇子で口元を隠しながらも、その目だけはしっかりと笑っていた。
「私は連絡事項を伝えに来ただけですが……あの方の前では、体調不良なんて言い訳にもなりませんものね? ふふ、せいぜい覚悟を決めてくださいな」
その声音はまるで心配しているかのようで、実際には一片たりとも同情など含んでいない。
顔色を変えたのは桂木室長だけではない。
(冗談じゃない!!)
今、佐竹と顔を合わせたら最後。
あんな状態じゃ、まともに云い返せるはずがない。
ざわめきが一気に弾けた。
「最初の相手は研究部門だって!」
「やったーっ!」
調和部門のラボは大騒ぎだ。
その隅で調和部門室長、桂木 恭一(かつらぎ きょういち)が小さく呻いた。
年齢は四十五歳。
淡い銀灰色の髪は丁寧に整えられているが、こめかみに刻まれた浅い皺と、疲れのにじむ青白い顔色がその年齢以上の疲労を物語っていた。
胃の奥が焼けるように痛み、そっと息を漏らし冷たい額に手を当てた。
「は、はは……佐竹戦略部門部長が、こちらに……。い、一体何を云われるやら……」
「あらあら、桂木室長……大丈夫ですよ」
ふいにかけられた声に、桂木はびくりと肩を震わせた。
振り向けば戦略部門課長――朝倉 楓(あさくら かえで)が、扇子で口元を隠しながらも、その目だけはしっかりと笑っていた。
「私は連絡事項を伝えに来ただけですが……あの方の前では、体調不良なんて言い訳にもなりませんものね? ふふ、せいぜい覚悟を決めてくださいな」
その声音はまるで心配しているかのようで、実際には一片たりとも同情など含んでいない。
顔色を変えたのは桂木室長だけではない。
(冗談じゃない!!)
今、佐竹と顔を合わせたら最後。
あんな状態じゃ、まともに云い返せるはずがない。