暁に星の花を束ねて
そんな次の日。
桂木室長が入院したとの連絡が入った。
原因は、おそらく激務と心労。
「新入り研究員が脱走」「部門間の確執」「上層部からの圧」……葵の初出勤以来、調和部門の空気は揺れ続けていた。
明日は都内郊外で開催される、先端生体素材の国際展示会《バイオマター・エキスポ20XX》が開催される。
世界各国から最先端のバイオナノ素材ベンダーが集い、企業間での連携や調達交渉が行われる場であり、SHTとしても毎年視察の代表を派遣している。
当初、調和部門からは桂木室長が出席予定だったが
、急遽出席者の再調整が急務となった。
「……というわけで」
調和統括の馬渡遼が、柔らかな笑みを浮かべながら云った。
その目は冗談とも本気ともつかない。
「脱走した君に、ちょっと責任をとってもらおうかな」
「えっ!?」
「入院したことは知っているね? 桂木さんの代役だよ。きみも研究者の端くれとして、展示会くらい見ておくといい」
「……はい」
もちろん馬渡の言葉は半分は冗談だが、もう半分は、彼なりのお試しであり信頼でもあった。
こうして葵はノーとは云えず調和部門からは彼女が出席することが決まった。
一方、戦略部門からは当初、佐竹蓮と片岡一真(かたおか かずま)の二名が予定されていた。
だが調和部門の代表が一人であること、また外部との技術的交渉よりも現地での状況把握が主目的であることから、戦略部門側の調整が入り、結局佐竹のみが同行することとなる。
桂木室長が入院したとの連絡が入った。
原因は、おそらく激務と心労。
「新入り研究員が脱走」「部門間の確執」「上層部からの圧」……葵の初出勤以来、調和部門の空気は揺れ続けていた。
明日は都内郊外で開催される、先端生体素材の国際展示会《バイオマター・エキスポ20XX》が開催される。
世界各国から最先端のバイオナノ素材ベンダーが集い、企業間での連携や調達交渉が行われる場であり、SHTとしても毎年視察の代表を派遣している。
当初、調和部門からは桂木室長が出席予定だったが
、急遽出席者の再調整が急務となった。
「……というわけで」
調和統括の馬渡遼が、柔らかな笑みを浮かべながら云った。
その目は冗談とも本気ともつかない。
「脱走した君に、ちょっと責任をとってもらおうかな」
「えっ!?」
「入院したことは知っているね? 桂木さんの代役だよ。きみも研究者の端くれとして、展示会くらい見ておくといい」
「……はい」
もちろん馬渡の言葉は半分は冗談だが、もう半分は、彼なりのお試しであり信頼でもあった。
こうして葵はノーとは云えず調和部門からは彼女が出席することが決まった。
一方、戦略部門からは当初、佐竹蓮と片岡一真(かたおか かずま)の二名が予定されていた。
だが調和部門の代表が一人であること、また外部との技術的交渉よりも現地での状況把握が主目的であることから、戦略部門側の調整が入り、結局佐竹のみが同行することとなる。