暁に星の花を束ねて

「欠片が傷に残ってたらどうするんですか。破傷風も、ナノ感染だって……!」

そのまま佐竹の手をぐっと引くと、彼は少しだけ抵抗を見せたが黙って従った。

「医療キット、温室の奥にありますから!」

手袋越しに伝わる温度。
そのぬくもりが、彼のものなのか自分のものなのか、葵にはもう分からなかった。

温室の作業台。

思ったよりも棘の傷は深かった。
黒手袋の内側を伝い、赤い雫が指先から落ちる。

その数滴が温室の床に咲いていたステラ・フローラの花弁をかすめ、土に落ちた。

血の赤と、花の白。

ほんの一瞬、まるで絵の具が混ざるように、違う世界が触れ合った気がした。
ステラ・フローラは何かに反応するように葉を震わせていることを葵は確認したが、今は佐竹の治療が先だ。

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