暁に星の花を束ねて
彼女の手が止まっていると。

「おれの肉体美に見とれてるのか」

低い声が、まったくもって自覚のある言い方で思考を断ち切る。
それが冗談なのか本気なのか、判断できない分だけタチが悪い。

「ちがいます!」

葵は背を向けたまま声を上げた。
胸の奥で何かが跳ねたのを、否定できなかった。

(うう、刺激が強すぎる……!)

間近で異性の、ましてや佐竹の裸など。
佐竹は少し残念そうにため息をつく。

「そうか……おれも、まだまだだな」
「なにがですか〜!」

一呼吸置いて、葵は思い切って口を開いた。
それとは全く別のことだ。

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