暁に星の花を束ねて
葵は続けた。

「冷たいけど守ってくれて、王子様みたいに助けてくれるのに……怖くて強くて、将軍みたいです」

「じゃあなんだ。舞踏会ではなく作戦会議で、運命の手袋をおれが落とすとでもいうのか」

佐竹の低音に全員が笑った。

「拾ったら『君は作戦に向いている』って云われますね」

「『次の作戦、同行だ。覚悟しろ』って、無言でエレベーターに乗せられるパターンです!」

笑いがテーブルを包む。

「佐竹部長は王子将軍。では、馬車はどんなものがいいと思いますか?」

結衣が興味津々に尋ねる。
佐竹は眉をひそめて少しだけ考え、平然と答えた。

「……装甲は必要だな」

「えっ、装甲!?」

「防弾、耐衝撃、EMP耐性。追跡妨害のノイズキャンセルも忘れるな。移動経路は常時変更だ」

「それ、馬車じゃなくて完全武装の要塞じゃないですか! シンデレラ、どこ行くんです!? 戦地ですか!?」

片岡がツッコむと、佐竹はふっと口角を上げた。

「守るというのは、そういうことだ」

それはあくまで戦略家としての、だが確かな優しさのこもった宣言だった。

「……守るって、そういうこと……それ、もうプロポーズですよ。暗号化された、超ハードボイルドな愛の告白じゃないですか!」

「暗号化しすぎて、もう解読できません……」

お昼休みの終わりも近づく。

「じゃあ、最後に。佐竹さんにとって、シンデレラってどんな話ですか?」

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