暁に星の花を束ねて
氷と業火の対峙

若き獅子の登壇



会議室《碧鱗の間》

空調が効いた会議室。

天井のシャンデリアは煌々と光を放つが、その光は冷たい。

まるでこの部屋に流れる空気の緊張を際立たせるための装置に過ぎなかった。

入室してきた少名彦凛翔(すくなひこ りんしょう)は、自宅のような迷いのない足取りでテーブルの中央に立つと、背後の暁烏真澄(あけがらす ますみ)に軽く頷きを送る。

漆黒に近いダークブラウンの髪は、無造作に撫でつけられている。

その奥から覗く青灰色の瞳は、氷片のように冴え冴えとし、見る者に一瞬の寒気を覚えさせた。

まだ二十代半ばという若さを纏いながらも、仕立ての良いスーツが与える印象は年齢以上の重みを帯びている。

整った顔立ちは確かに父、隼人を思わせる。

しかしそこに映るのは老獪な計算よりも、燃え盛るような野心と、危ういほどの自己信頼であった。

口元に浮かぶ笑みは父に似て冷ややかだが、その端にのぞく影はむしろ、どこか無謀さを孕んでいた。

「本日は貴社との未来的な事業提携について、ご提案に参りました」

堂々たる口上。

まるで、かつてこの場に立った父をなぞるかのようだった。

佐竹蓮はその姿を冷ややかに見据えながら、黒い手袋越しに指先を組む。


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