暁に星の花を束ねて
「……ネクサリア社は……」
黒手袋越しに指先を組み直し、佐竹蓮はわずかに口角を吊り上げた。
「設立わずか三年で年商四百億を超える急成長ベンチャー。理事会もさぞ興味深く眺めているだろう」
凛翔の瞳が細められ、わずかに笑みが浮かぶ。
「Nexus─結節点と、Aria─新しい調べ。
ネクサリアとは、人と技術をつなぎ、未来に新しい旋律を奏でる会社を意味します。私の事業が成功すれば、理事会がどちらを選ぶかは明白です」
あくまで自分が築いた会社だと信じる者の確信に満ちた声音だった。
彼は知らない。
ネクサリアの急成長を支える資金と人脈が、宗牙の掌の上にあることを。
佐竹は視線を横に流し、無表情の暁烏を一瞥した。
「……旋律か。だがその調べは、燃え盛る炎に合わせた伴奏のようにも聞こえる」
暁烏を見据え皮肉交じりの低声。
二人の眼差しが一瞬だけ鋭さを増す。
しかし返答はない。
彼はただ、冷徹な顧問として沈黙を守った。
「選ばれることに価値を見いだしている時点で、まだ半人前だ。理事会が私を選んだのではない。私が理事会を選ばせたのだ」
低い声音。
その言葉は勝者の自覚ではなく、冷徹な事実の提示にすぎなかった。
会議室に漂う空気が、さらに凍りつく。