#shion【連載中】
数日後、僕たち4人は放課後に予定を合わせて、学校の近くのファミリーレストランに集まった。
僕はクラブハウスサンドを頼み、少しだけ奮発して、クリームソーダもつける。
「律、クリームソーダ似合うねぇ」
三角さんがうっとりした顔で僕を見つめたかと思うと、おもむろにスマホを取り出してカシャリと写真を撮った。
僕と、横に座っていた桜井さんは、思わず顔を見合わせる。困惑してるのがきっと伝わったはずなのに、三角さんは気にした様子もなく言葉を続けた。
「りっつんとさくらの並び、かわいすぎる〜! この写真、アップしてもOK? ちっちゃくて可愛い子って、大正義なんだよねぇ」
……マイペースすぎる。
だけど、どこか憎めない。キラキラしていて、兄のように遠くに感じる存在だけど、悪意がないのが分かるから。
「……別にいいけど。桜井さんは?」
「もちろん、いいよ。ねえ三角さん、その写真、私にも送って?」
「もちろん! すぐ送る〜!」
あっという間にグループチャットに写真が届く。
そのあと、みんなで桜井さんが仕上げてくれた脚本案を囲んで、わいわいと話し合った。
「こんな短期間で仕上げてくれて、すごいね桜井さん」
僕は、クリームソーダの上に乗ったアイスをスプーンですくいながら感嘆する。
「ありがとう。でも……ほとんどAIにやってもらっちゃったから」
その言葉に、僕の目がぱっと輝いた。
「うん、一緒だ。一緒。あのあらすじも、僕、AIと一緒に考えたんだ」
「そっかぁ。だからAIの描写がすごくリアルだったんだね。でも……AIの感情の揺れとか、主人公の微妙な気持ちとか、あれは律くんの力だと思うな」
「うーん、どうだろ。……うちのAIがすっっっっごいだけかも」
つい口元が綻ぶ。
褒められたのは、あのあらすじ。でも、それはつまり司音を褒められたということだ。それがたまらなく嬉しかった。
「何使ってんの?」と、高瀬が口を開く。
「『SION』っていうやつ。招待制だから、今はまだリリース前なんだけど、パパが開発に関わってて───その関係で、ちょっとだけ先に使わせてもらってる」
「へえ〜、りっつんのパパ、最先端エンジニアなんだ! カッコいい〜!」
はしゃぐ三角さんの隣で、高瀬がスマホをすっと取り出す。
「……まだ日本語の情報少ないな。日本での使用者自体が少ないのかも。
……ふむ、既存のAIをベースに、対話と学習への適応度を強化。賛否両論はあるけど、全体としての評価は悪くない。……創作向きっていうのも、なんかわかるな」
高瀬がすでに『SION』を検索していたことに、僕はちょっと驚いた。
でもそれ以上に驚いたのは、そこに並ぶ“冷静な評価”の数々だった。
みんな、僕みたいに夢中になってると思ってた。司音が“ただのAI”なんかじゃないこと、当然のように分かってると思ってた。
――――違うのかな。