ご主人様は糖度高めの三つ子様
そして私はタイヨウさんの腕からすり抜けて、
ドアを開く。
と、そこにはダイニングルーム…
といっても、
ちょっとした小ホール並みに広い部屋だった。
たまたま目に入ったドアを開けると、
階段とエレベーターがある。
すかさず階段を3階分かけ降りると、
エントランスホールが見えた。
よっしゃ!玄関だ!
そして私は命からがら?この超高級マンションから
逃げ出したのである。
かなり大きいけど、
マンション丸ごとあの人達の家なのか?
いや、そんなわけないよね…
でも、中には玄関が一つしかなかった…
「うわっ」
快適温度で保たれていた高級マンションから
外へ出るとそこには現実が待っていた。
耳をつんざくセミの大合唱、
火を噴きそうなくらい熱っされたアスファルト。
辺りを見回す。
あー、ここ、
街で一番お金持ちが住む丘…
のたぶん一番上だわ。
ちなみに私が住んでたのは
一番海側の治安が悪いところ。
はぁ…
死のうと決めたのになんかタイミングを逃したな…
住んでた家にはもう帰れない。
家賃滞納中だし、鍵も返したし。
家族も友達もいない。
お金はもう一千もない。
それどころか100万円の借金もできた。
逃げたはいいけど行くあてないじゃん…
「あっ…」
履いていたヒールの高いサンダルの左足の紐が切れたようだ。
これ、昨日買ったばかりのブランド物なのに
なんでこんなボロボロなの。
そのまま両足とも脱いで、
裸足のままとぼとぼ歩いていたら見晴らしのいい
ちょっとした公園についてしまった。
サンダルを置いて、街を一望できる展望スポットの柵にまたがってみる。
下は崖で足が震えた。
結局飛び降りれないんじゃん。
死ぬとか言って怖いんじゃん。
現実から目を背けたいだけじゃんか。
でも、できないなら、もう立ち向かうしかないじゃん。
「ちょうど、前の奴が辞めちまったばっかでさ」