転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 この国の王宮で、リリカとアークス以外の子供の声がすることはない。そのため、甲高い泣き声はすぐにイヴェリオの耳にも届いたようだ。

「申し訳ございません、旦那様。お昼寝からお目覚めになった時に、旦那様がいないと……」

 うろたえた様子を見せるマーサも、なかなかの演技派である。申し訳なさそうに、招待客達の前で、リリカを抱き上げたまま腰を折った。

「パパー! うしょちゅき! あたちといっちょにいりゅっていった!」
「……失礼」

 ヴォルガ達の方に断りをいれて、イヴェリオがこちらにやってくる。リリカはマーサの腕の中から、イヴェリオの方に両手を差し出した。

「パパ! きりゃい! いっちょっていった!」

 かと思えば、思い付きでその腕を引っ込め、マーサの首にしがみ付き直す。

「……おい」

 イヴェリオから突っ込みが入った。演技過剰だったか。

「リリカ。機嫌を直してくれ。パパはお仕事だ」

 イヴェリオが、自分のことを『パパ』と言うなんて。思わずぷっと吹き出しそうになり、慌ててマーサの肩に顔を埋めた。

「ちらない!」
「……そんなことを言わずに、頼む。パパのお願いだ」

< 153 / 265 >

この作品をシェア

pagetop