転生幼女と宰相パパは最強コンビ
「そうか。あちらでも、精霊使いを育てる方法は失われていた。だが、その記録がなんらかの形で残されていて、再び有力者の目に留まったのだとしたら――いや、『闇の商人団』の幹部がどこかで情報を得たということなのか」

 すっかり眉間に皺を刻んでしまったイヴェリオは、難しい顔をして考え込んでいる。リリカは、彼の前でぴょんぴょんと飛び跳ねた。
 彼が手にしている書類は、まだ読んでいる途中なのだ。

「パパ、あたちにしょれをかえちて!」
「ああ――すまない」

 なるべく早く、真実を明らかにしなければ。そんな焦りが生まれてくる。
 イヴェリオの手から書類をひったくるようにして、元の位置に戻った。

「……リリカ」
「なに?」

 再び床に丸まって書類を読み解こうとし始めたら、リリカの前にイヴェリオがしゃがみこんだ。目の高さを合わせられ、じっと見つめられて困惑する。

「パパ、どうちたの?」
「焦らなくていい。リリカの力は、たしかに貴重なものだ。リリカに頼らなければいけない現状を、申し訳なく思っているのも本当のことだ」
「なにいってりゅの? あたち、パパよりとちうえよ?」

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