転生幼女と宰相パパは最強コンビ
　子供達の中には、マナーの勉強を始める前の年齢の子もいる。そのあたりを考え、手で食べられるサンドイッチが大量に出された。それと、カットされた果物も。
　飲み物は、牛乳とジュース。好きなものを選ぶ。

「甘いの！」
「ジュース飲んでいい？」

　子供達の目が、美しく盛りつけられたサンドイッチに吸い寄せらせる。空腹には勝てないということか。
　懸命に泣くのをこらえている女の子を見つけたリリカは、そっとかがんで小さな両手を伸ばす。

「ないても、だいじょーぶ。だれも、おこらない。しゅぐに、おうちのひとにあえゆよ」
「……本当？」
「あい。あたち、うしょちゅかない……パパとアークが、おうちのひとをしゃがしてくえゆ」

　リリカの拙(つたな)いながらも真っすぐな言葉に、女の子はぽろりと涙をこぼした。
　両親と幸せに暮らしていただろうに、暴力で連れ去られた。閉じ込められて、ろくな扱いもされず、大きな恐怖にさらされ続けていただろう。

（あとで、必要そうなことをまとめた方がいいかもしれないな）

　集められている侍女達は、子育ての経験は豊富だろう。子供達にも、きっと愛情を持って接してくれる。
< 238 / 265 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop