転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 あまりにも真っすぐなその瞳に、居心地が悪くなってしまった。

「帰って」
「ですが、陛下」

 親戚ではあるが、執務室では、君主と家臣という形を崩さない。
 だが、今のアークスは頬を膨らませ、年相応の表情だ。ぴしっとイヴェリオに指を突きつけ、アークスは言い放った。

「赤ちゃん、見てきて」
「生きているのは確認しています」
「見てきて。そして、どんな子か教えて? だって、イヴェリオが引き取ったんでしょう?」

 邪気のない目で見つめられれば、イヴェリオには逆らうことなんてできなかった。たしかに、名前すらつけていないというのはあまりにもひどいかもしれない。


 屋敷に戻る時は、いつだって深夜だ。それはアークスから子供の様子を確認するよう言われた今日も同じだった。
 こっそりと赤子に与えた部屋に入り込んだ――つもりが、扉を開いて室内に入ったところで、横から袖を引かれた。
 人差し指を顔の前に立てているのは、マーサである。
 彼女は、きちんと服を身に着けたまま、赤子に付き添っていたようだ。彼女のベッドはこの部屋に持ち込んでいるが、きちんと休めているのだろうか。

「どうした?」
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