転生幼女と宰相パパは最強コンビ
「静かにしてくださいまし。今、お嬢様は、ひとりで上手に遊んでいらっしゃいますから」

 こそこそと囁(ささや)き合う。
 あうあう、だとかだうだう、だとか意味のない言葉を発しながら、ベッドの中をずりずりと這いまわっているのが薄暗い中でもわかる。あれでは、シーツがぐちゃぐちゃになってしまう。
 最初に赤子を抱き上げた時、服をべたべたにされたのを思い出して、しかめっ面になった。
 ひとしきり動き回って満足したのか、赤子は動きを止める。マーサに許可を出されて近づいてみれば、ベッドの端の方まで移動している。
 もちろん、かけていた布団は乱れていて、ベッドの端に追いやられていた。柵をつけていなかったら、床の上に落とされていただろう。
 抱き上げてみると、何が気に入らないのか急に身体をのけぞらせ、左右にゆらゆらと揺れ始めた。

「……おい!」

 落としかけてしまい、思わず漏れる小さな声。
 笑いながらマーサが手際よく、彼女を抱きとめる。
 マーサの腕の中に落ち着いた赤子は、こちらにじっと目を向けてきた。室内の明かりは暗くしてあるというのに、目がぱっちりと開いているのが見える。
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