転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 まるで、マーサの言葉がわかっているかのように、これまた適当に「あい」だの「だあ」だのと言っているが、このぐらいの子供でも、言っていることがわかるのであろうか。

「それで、旦那様。お嬢様のお名前は?」
「名前?」
「お嬢様を、正式にお屋敷で引き取ることになったと聞きましたよ」
「……ああ」

 まだ名前すらつけていなかったことをやんわりとマーサにたしなめられ、帰宅する馬車の中で考えていた名前を与えることにする。

「名前、か……そうだな、リリカというのはどうだ?」

 ――リリカ。リリカ・アストレイシア。これが、彼女の名前だ。
 伝説の精霊使い。精霊に愛され、多くの人々に愛されていたという存在。
 ならば、そんな存在のようになればいい。
 そんなありきたりな願いを込めただけで、リリカに対する感情なんてまったくなかった。
 うかつに外には出せない子供だから、公爵家で養育すればそれで充分。
 イヴェリオの中にあるのはそれだけだった。


 * * *



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