転生幼女と宰相パパは最強コンビ
「パパ、こっち見て――トワ」

 リリカの声に応じて姿を見せたのは、大きな精霊だった。驚いて立ち上がれば、リリカを乗せた精霊が、こちらに向かって歩いて来る。
 あともう少しでイヴェリオのところに着くというところで、精霊は姿を消してしまい、乗っていたリリカは転げ落ちた。

「いたぁい……」
「大丈夫か!」

 思わず駆け寄れば、リリカは真っすぐにこちらを見ていた。そのリリカに、なんて言葉をかければいいのだろうか。

「あい。トワ、すぐにきえゆ」

 幼い頃に、精霊使いとしての能力に目覚めてしまったからだろうか。リリカの精霊は、今のところさほど有効な能力を持っているようには思えなかった。
 この世界に実体化できる以上、ある程度の力は持っているのだろうが、外見からして気の抜けるような姿である。
 おまけに、実体化できるのは一分程度。
 一応リリカを乗せても大丈夫だから、襲われるようなことがあれば、逃げるのに力を借りられるかもしれないが、一分でどこまで逃げられるものやら。
 それに、あまりにも幼いうちに精霊使いとしての能力に目覚めてしまえば、魔力を暴走させかねない。
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