転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 リリカにもう一度目をやってから、自分のデスクに戻る。リリカは完全に自分の世界に没頭していた。
 なにやらむにむにと口を動かし、顎に手をやって、真剣に考える表情。
 その姿は三歳とは思えず、どこか大人びた雰囲気でもある。
 この国を立て直すのに、農業は大切である。幸いにも肥(ひ)沃(よく)な土壌に恵まれているのだから、それを生かさない手はない。
 幼い子供の発想は柔軟だという。何か、リリカの興味を引くようなものがあれば、教えてもらえないだろうか。もしかしたら、何か、有益な情報につながるかもしれないし。

(それにしても、読解能力が高いな……とんでもない才能に恵まれた娘を養女にしてしまったかもしれない)

 とイヴェリオは思ったのだが、彼の考えがまだまだ甘かったことを、それからさほどたたないうちに知ることになった。


 リリカが眠ったあと、自宅の執務室に入る。
 リリカと離れないようにするため、今までだったら王宮でやっていた執務を自宅に持ち帰ることも増えた。
 自宅のデスクの上に、一通の封筒が置かれている。差出人の名前はないが、あて名はイヴェリオのものだった。

(……なんだ?)

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