転生幼女と宰相パパは最強コンビ
「ルーンストーン」
「これは?」
「魔術陣」
「じゃあ、これは?」
「魔術陣」

 先に指さした魔術陣と、あとからさした魔術陣には、まったく違う模様が書かれている。じーっと見ていたら、ドミは最初の魔術陣を取り上げた。

「こっち、魔力、送る。こっち、魔力、吸う」
「なるほどー」

 にこにことしながらドミの話を聞いていると、彼はリリカに小さな石を差し出した。

「これなぁに?」
「これ、ルーンストーン。どうぞ」
「あたちにくれゆ?」

 うなずいたので、これはリリカのものになったようだ。ルーンストーンの実物を見るのは初めてだ。

「……水晶」
「しゅいしょう……」

 手に乗せたルーンストーンは透明で、きらきらとしていた。水晶から作られたものらしい。日光を通してみれば、地面に虹が描き出される。

「きれい。ありがと」

 どういたしまして、の代わりにドミはひょいと帽子に手をやる。ちょっぴり耳が赤くなっているから、悪い気はしなかったようだ。
 部屋に戻ったリリカは、ソファにうつぶせになって、折り曲げた膝から先をゆらゆらと揺らしながら考える。手にしているのは、クレヨンだ。
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