転生幼女と宰相パパは最強コンビ
　アークスはイヴェリオとは親戚で、もうすぐ十三歳ということしかリリカは知らない。そんな年齢で国を背負う。どれだけ大変なのだろうと想像せずにはいられない。

「マーシャ、とちょちちゅ、いく。いっちょにきて！」
「かしこまりました」

　屋敷にいる間は、あいかわらずマーサべったりだ。
　公爵家の図書室には、新しい本が何冊か増えたようだ。

「マーシャ、あれ、とってくだしゃい」
「こちらですか？」
「あい、しょのごほんがほちい」

　どう考えても、三歳の子供が読むような本ではないのだが、マーサは何も聞かず指定した本を取り出してくれた。リリカが本を汚したり破いたりしないのをよく知っているし、イヴェリオからも好きなようにさせていいと言われているそうだ。
　部屋のソファに座って、膝の上に本を広げる。
　これは、失われた魔術に関する資料のようだ。ルーンストーンに込める魔力を増やすにはどうしたらいいのかが書かれている。

（皆、これ、読めないのかな……）

　いくら古い言語とはいえ、昔は使われていた言葉だろうに。
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