転生幼女と宰相パパは最強コンビ
「あい!」

 いい夢を、と言葉をかけられただけでご機嫌になってしまった。我ながら、単純なものである。


 * * *



 リリカを見送ったイヴェリオは、ソファに深く座り直した。背もたれに完全に背中を預けてしまい、ぐでっとなって天井を見上げる。
 普段なら、許されないだらけた姿勢である。

「旦那様、お飲み物をお持ちしましょうか?」
「そうだな。ローゼス。茶を頼む――ブランデーも」
「かしこまりました」

 言葉を話せるようになってからのリリカは、普通の子供とは違うらしいというのは薄々と察していた。
 実のところ、他の子供がどんなものなのか、よく知っているというわけではない。
 親戚のアークスを生まれた時から見ていたけれど、彼と比べるとだいぶ成長が早いとは思っていた。
 三歳で読み書きができるようになっただけではなく、どうやってか古文書まで読むようになっていたのには驚かされてしまった。
 読み書きできるようになるのがあまりにも早いとは思っていたが、まさか前世の記憶を持っていたとは。

(……前世の記憶、か――話には聞いていたが)

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