転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 今の人生とは別人の記憶があるという人物は、皆無というわけではない。特に優れた魔術の力を持っている者に、その傾向が多いようだ。
 とはいえ、数十年にひとり程度。王宮から遠いところにいて、記憶を隠している者もいるだろうから、もう少しいるかもしれない。だが、それにしたって珍しい。

「ローゼス、どう思う?」
「リリカお嬢様ですか? 薄々とは察しておりました。違う世界の記憶だとは思っておりませんでしたが」
「薄々とは察していた?」

 問いかければ、ローゼスは深く頭を下げる。

「はい。リリカ様は、年齢に見合わない落ち着きをお持ちでしたので」
「そうなのか?」
「ええ、旦那様。三歳の子供とは思えない落ち着きぶりに知識、精霊と契約できる素質をお持ちのことも合わせて、普通のお子様ではないと考えておりました。マーサも同じ意見です」

 やはり、リリカは普通ではないらしい。

「図書室に、そういった話を集めた本があったはずだ。探して持ってきてくれ」

 紅茶を注いだローゼスは、一礼して部屋を出ていく。
 図書室にどんな本が置かれているか、彼は完璧に把握している。すぐに持って戻ってくるだろう。
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