転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 ローゼスが注いでくれた紅茶のカップに、ブランデーを垂らす。時々、考えをまとめる時にはこうやってブランデーを垂らして紅茶を飲むこともある。
 父がやっていたのをなんとなく真似しているだけなのだが――こうすると、父が側で助けてくれるような気がする。

(……重い)

 この国を愛しているし、アークスに忠誠を誓っている。
 だが、時々、自分の肩に載せられた責任がどうしようもないほどに重く感じられる時もある。
 こんなところ、誰にも見せられないから、こうしてひとり、自室にいる時だけ甘えることを許している。

「お待たせいたしました。こちらでよろしいでしょうか?」
「助かる」

 紅茶を飲み終える前に、ローゼスが本を持って戻ってきた。その本に、ゆっくり目を通す。

(……やはり、前世の記憶を持つ者はそれなりにいたのだな)

 書物に書かれていたケースを確認すると、たいていはなんらかの形で王宮に勤め、国のために尽くすことを選んだようだ。
 多大な功績を上げた者の中には、爵位を受けて貴族になった者もいるらしい。
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