転生幼女と宰相パパは最強コンビ
だが、書物に記されている例は、あくまでもこの世界での生まれ変わり。海を越えた向こうの大陸で生きた記憶を持つ者は確認されているけれど「違う世界で生きた記憶」を持っていた者は少なかった。
だが、確認されているわずかな例でも、違う世界で生きた前世の記憶を持つ者は、この国の発展に多大なる影響を及ぼしたようだ。
百五十年前に存在を発見された者は、王宮で官(かん)吏(り)として働いていたようだ。彼の持つ能力は、王宮魔術師には向かないものだから、と。
その者は、前世でも役人として働いていたようで、その時の記憶から今の王宮での事務作業の基本的なシステムを作り上げた。
流行り病の影響でそのシステムがぐちゃぐちゃになってしまっているのは、近いうちになんとかしなければならない。
本を閉じ、紅茶を入れ直してもらって、またブランデーを垂らす。先ほどよりも少々多目に。
「……不思議なものだ」
とつぶやくと、視界の隅でローゼスが身じろぎするのが見えた。いつもなら、主の前でそんなところは見せないのに珍しい。
「ローゼス、聞いてくれるか?」
「もちろんでございます」
だが、確認されているわずかな例でも、違う世界で生きた前世の記憶を持つ者は、この国の発展に多大なる影響を及ぼしたようだ。
百五十年前に存在を発見された者は、王宮で官(かん)吏(り)として働いていたようだ。彼の持つ能力は、王宮魔術師には向かないものだから、と。
その者は、前世でも役人として働いていたようで、その時の記憶から今の王宮での事務作業の基本的なシステムを作り上げた。
流行り病の影響でそのシステムがぐちゃぐちゃになってしまっているのは、近いうちになんとかしなければならない。
本を閉じ、紅茶を入れ直してもらって、またブランデーを垂らす。先ほどよりも少々多目に。
「……不思議なものだ」
とつぶやくと、視界の隅でローゼスが身じろぎするのが見えた。いつもなら、主の前でそんなところは見せないのに珍しい。
「ローゼス、聞いてくれるか?」
「もちろんでございます」