死ぬ前に後悔したくないからと婚約破棄されましたが、溺愛されました
恐縮したけれど、断る勇気もなく、お受けすることにした。

断る勇気がなかっただけではない。
男爵には三人子供がいると聞いている。もしかしたら、婚約者は、あの時庇ってくれた男の子かもしれないと、淡い期待があったからというのもある。

そして、顔合わせの日━━私の淡い初恋の思い出は、木っ端微塵に崩れ去った。


「お前が婚約者?━━貧相だな」

上から下まで舐め回すように見た後の一声がこれだった。

とてもあの頃の男の子とは思えなかった。
けれど、他の兄弟の名前には「エ」がつかないので、おそらくあの時の男の子はエディなのだろう。認めたくないけれど……。

父親が決めたから仕方なく結婚してやると、あからさまに横柄な態度に幻滅した。










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