死ぬ前に後悔したくないからと婚約破棄されましたが、溺愛されました
頭の中にモヤがかかっているみたいに、掴めそうで掴めない記憶の断片を集めようと試みる。

けれど、集中できない。

「やっと、名前を呼んでくれましたね、ミア……愛しています……だから、これを握ってくれますか?」


「な⁉︎」

見下ろすように跨っていたエリオット様が、ごろんと私の横に寝そべる。

私を横向きにして背後から抱きしめると、手のひらにペンを握らせてくる。

エリオット様がペンを握った私の手を掴むと、婚姻届に記入させようとする。

「だめです!」


こんな体勢で書けませんから!
油断もすきもありませんね、というかシーツに貼り付けているなんてどうかしていますよ

破れますからね。

こんな攻防をいったいどれくらい続けるつもりなのだろう。

どうしてこうなってしまったのだろうと、あの時のことが蘇る。

そう、あれは━━。
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