死ぬ前に後悔したくないからと婚約破棄されましたが、溺愛されました
✳︎✳︎✳︎

「エディ、やっぱり明日の朝に出発しない?」


「チッ、ミア、俺が朝弱いの知ってるだろ?さぁ、さっさと行くぞ」


(今、舌打ちした……?)


「ったく、なんで俺が!」

「ごめんね、エディ」

「ごちゃごちゃうるさいから、さっと乗れ」

「あ、う、うん」

「なんで俺がお前なんかと一緒に出かけないといけないんだ」と、何度も悪態をつかれていた。

この頃の私は、嫌われるのが怖くて言いたいことも言えなかった。

だから、エディの機嫌を取ろうと必死だった。

エスコートされることもなく、一人で馬車へと乗り込むと向かい側に腰を下ろした。

「わっ!」

きちんと座り終える前に馬車は動き出して、バランスを崩してよろめいたけれど、
エディは見向きもしなかった。


エディはモデア男爵家の息子だった。男爵と言えども、裕福ではなく、私たち庶民との距離も近かった。

両親は男爵家管轄の小麦畑で働いていた。私も手伝えることはなんでもした。

そのせいで、日に焼けて肌荒れもして、近所の子達からからかわれることも多かった。
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