鬼縛る花嫁~虐げられ令嬢は罰した冷徹軍人に甘く激しく溺愛されるが、 帝都の闇は色濃く燃える~
いじめられ少女・柳善縛鎖子(りゅうぜんばく・さこ)
島国である大日麗帝国では、人と人ならざる者が共存していた。
人間と鬼の間の一族。
鬼人=おにびと。
元は人の敵であった鬼が、人間を守るために鬼を裏切り、人を襲う鬼や妖魔と戦う能力を持つ者達。
脅威となる妖魔を退治する事ができる彼等の武勲が認められ、貴族のような地位を持つものも現れた。
近代化した今でも、華鬼族と呼ばれ高い地位を得ている。
なかでも強大な地位と権力をもつ、五つの家は五大家という。
五大家は、統率院をつくり、華鬼族を導く存在になっていた。
そんな華鬼族の子供達は幼少の頃より、人を守るための対妖魔軍人となるべく特別な学術院で教育を受けるのだが……。
洋風建築構造で赤レンガ校舎の学術院。
小学部の昼休みに、校庭で騒がしい声がした。
「クサ子! 臭い~腐った子!」
「腐ってない……私の名前は、鎖子だもの……やめて……!」
セーラー服と学ランを着た、小学部の子供達。
花壇には、春の花が咲き誇ろうとツボミをつけて揺れている。
ジョウロを持った、長い黒髪で可憐な少女の周りを子供達が囲んでいた。
「こいつと結婚すると、男は弱くなって腐るんだぜ!」
「……そんなことない……」
酷い言葉に少女はショックを受ける。
「く~さこ! やべー能力の持ち主! だからお前は結婚もできない。ずっと一人ぼっちだ」
「違うもん……一人ぼっちじゃない……」
「一人じゃねーか! 親もいない!」
「……ひどい……」
「こいつに鎖で縛られて弱くされるなんて、絶対結婚したくない! やーいクサ子!」
「違う……やめて。柳善縛家のことを……変に言わないで……鎖子は当主が引き継ぐ立派な名前なのに……」
「うるせー! クサ子!」
四、五人の男子に囲まれての、しつこい中傷。
何度も言い返して、耐えていたが、綺麗な黒髪と華奢な肩が細かく震えだす。
濃い睫毛に囲まれた大きな栗色の瞳から、涙が溢れそうになるが必死に我慢する。
「妹の愛蘭の名前は可愛いのに、姉ちゃんの鎖子は、臭い名前なんだな~」
男子の少し後ろで、笑って見ていた仁王立ちの少女。
愛蘭と呼ばれた少女は、縮れた癖っ毛をボブカットにして上質のリボンを付けている。
愛蘭は、小さなツリ目を更に引きつらせた。
「やめてよ! 妹って言っても同じ年齢なんだから。私には男を弱らせる力はないから結婚できるしね! ねぇ! その花壇の花、クサ子がいつも水やってるよね。みんなで、つぼみを潰しちゃって!!」
愛蘭が叫んだ。
その言葉に、鎖子は青ざめる。
「あ、愛蘭やめて! お母様とお父様のお墓に備えるために育ててたのに……やっと咲くのに、お願いやめて!」
「ふん! 辛気臭い! 私はクサ子と姉妹なんかじゃないの。ただの従姉妹よ。この子は両親が死んじゃったから、うちの母様と父様が引き取ってあげたんだから! ありがたく思いなさいよ! このクサレぼっち!」
愛蘭は偉そうに笑う。
しかし鎖子の両親が亡くなって、大きな屋敷と財産と地位を奪い取ったのは愛蘭の両親なのだ。
「愛蘭……」
「クサ子がお姉ちゃんとか、最悪だわ~! クサ子はゴミだ! みんなで花壇を全部踏み潰せ!」
従姉妹ではあるはずなのに、まるで似ていない愛蘭が、引きつった目を歪ませて笑う。
「踏み潰せ~~!!」
愛蘭の号令で、興奮が最高潮になった子供達が花壇を踏み潰そうとした。
職員室の窓から、教員も見ているが何も言わない。
「やめてーーー!」
それを止めようとした鎖子も突き飛ばされる。
毎日、亡くなった両親を想いながら水をあげてきた。
やっと蕾が膨らんだ菊の花。
無惨に散らばった未来が見えて、鎖子の瞳から涙が溢れる。
「だめ……!!」
鎖子のまわりを鎖の形をしたオーラが、無意識に渦巻く。
「お前ら! 何をしている!!! やめろ!!!」
少年の怒号が響いて、皆がビクリと静止した。
その瞬間、鎖子もハッとなり鎖のオーラが飛散した。
人間と鬼の間の一族。
鬼人=おにびと。
元は人の敵であった鬼が、人間を守るために鬼を裏切り、人を襲う鬼や妖魔と戦う能力を持つ者達。
脅威となる妖魔を退治する事ができる彼等の武勲が認められ、貴族のような地位を持つものも現れた。
近代化した今でも、華鬼族と呼ばれ高い地位を得ている。
なかでも強大な地位と権力をもつ、五つの家は五大家という。
五大家は、統率院をつくり、華鬼族を導く存在になっていた。
そんな華鬼族の子供達は幼少の頃より、人を守るための対妖魔軍人となるべく特別な学術院で教育を受けるのだが……。
洋風建築構造で赤レンガ校舎の学術院。
小学部の昼休みに、校庭で騒がしい声がした。
「クサ子! 臭い~腐った子!」
「腐ってない……私の名前は、鎖子だもの……やめて……!」
セーラー服と学ランを着た、小学部の子供達。
花壇には、春の花が咲き誇ろうとツボミをつけて揺れている。
ジョウロを持った、長い黒髪で可憐な少女の周りを子供達が囲んでいた。
「こいつと結婚すると、男は弱くなって腐るんだぜ!」
「……そんなことない……」
酷い言葉に少女はショックを受ける。
「く~さこ! やべー能力の持ち主! だからお前は結婚もできない。ずっと一人ぼっちだ」
「違うもん……一人ぼっちじゃない……」
「一人じゃねーか! 親もいない!」
「……ひどい……」
「こいつに鎖で縛られて弱くされるなんて、絶対結婚したくない! やーいクサ子!」
「違う……やめて。柳善縛家のことを……変に言わないで……鎖子は当主が引き継ぐ立派な名前なのに……」
「うるせー! クサ子!」
四、五人の男子に囲まれての、しつこい中傷。
何度も言い返して、耐えていたが、綺麗な黒髪と華奢な肩が細かく震えだす。
濃い睫毛に囲まれた大きな栗色の瞳から、涙が溢れそうになるが必死に我慢する。
「妹の愛蘭の名前は可愛いのに、姉ちゃんの鎖子は、臭い名前なんだな~」
男子の少し後ろで、笑って見ていた仁王立ちの少女。
愛蘭と呼ばれた少女は、縮れた癖っ毛をボブカットにして上質のリボンを付けている。
愛蘭は、小さなツリ目を更に引きつらせた。
「やめてよ! 妹って言っても同じ年齢なんだから。私には男を弱らせる力はないから結婚できるしね! ねぇ! その花壇の花、クサ子がいつも水やってるよね。みんなで、つぼみを潰しちゃって!!」
愛蘭が叫んだ。
その言葉に、鎖子は青ざめる。
「あ、愛蘭やめて! お母様とお父様のお墓に備えるために育ててたのに……やっと咲くのに、お願いやめて!」
「ふん! 辛気臭い! 私はクサ子と姉妹なんかじゃないの。ただの従姉妹よ。この子は両親が死んじゃったから、うちの母様と父様が引き取ってあげたんだから! ありがたく思いなさいよ! このクサレぼっち!」
愛蘭は偉そうに笑う。
しかし鎖子の両親が亡くなって、大きな屋敷と財産と地位を奪い取ったのは愛蘭の両親なのだ。
「愛蘭……」
「クサ子がお姉ちゃんとか、最悪だわ~! クサ子はゴミだ! みんなで花壇を全部踏み潰せ!」
従姉妹ではあるはずなのに、まるで似ていない愛蘭が、引きつった目を歪ませて笑う。
「踏み潰せ~~!!」
愛蘭の号令で、興奮が最高潮になった子供達が花壇を踏み潰そうとした。
職員室の窓から、教員も見ているが何も言わない。
「やめてーーー!」
それを止めようとした鎖子も突き飛ばされる。
毎日、亡くなった両親を想いながら水をあげてきた。
やっと蕾が膨らんだ菊の花。
無惨に散らばった未来が見えて、鎖子の瞳から涙が溢れる。
「だめ……!!」
鎖子のまわりを鎖の形をしたオーラが、無意識に渦巻く。
「お前ら! 何をしている!!! やめろ!!!」
少年の怒号が響いて、皆がビクリと静止した。
その瞬間、鎖子もハッとなり鎖のオーラが飛散した。