【完】オキナグサに愛を込めて
……こんな事ってありえるの…?
今わたしがいるのはレンさんのバイクの後ろ。
いつも見ていたあの大きな車体に乗せられて向かう先はレンさんの家。
もちろん、バイクに乗るのは初めてな訳で、乗り方も捕まり方も分からないわたしをレンさんは優しく抱えてバイクに乗せてくれた。
「ここ、捕まれ」
と、腕を回されたのはレンさんの腰。
絶対離すなよと念押しされてバイクが走り出した。
今まで感じたことの無い風とバイクの爆音を身体中に浴びて、車通りの少ない道路を走った。
華奢に見えるレンさんの身体はしっかりと筋肉が付いていて強く抱き締めてもいいんだって安心感と初めてのバイクの恐怖でかなり強めに腕を回してたと思う。
信号待ちの度わたしを気にかけてくれるレンさんにキュンとしたなんて、この夢物語の中に仕舞っておこう。
例えばこの後事故にあってわたしが大怪我するとか、そんな事が起きなければ辻褄が合わないんじゃないかと思っている。