【完】オキナグサに愛を込めて
ワンタッチで開く玄関にも、自動で付いた電気にも驚きながら、リビングへ案内される。
レンさんの手にはここへ来る途中寄ったコンビニの袋があった。
気にするなと歯ブラシセットや飲み物を買ってくれた。
「着替えてくるから適当に座ってろ」
そう言われてリビングのソファーに腰を下ろした。
1人になって冷静にこの状況を捉えた時、背中の冷や汗が止まらなくなっていた。
仮にもこれはお泊まりになる訳であって、男女がひとつ屋根の下…それが意味することは恋愛経験ゼロのわたしでも理解出来る。
……いやでも、そんなことないか。
レンさんは家に帰れないわたしを仕方なく連れてきてくれたんだ。
そう思うことでしか今の自分を落ち着ける術が見当たらなかった。