【完】オキナグサに愛を込めて
『誰もいないって、お父さんやお母さんもですか?』
「ああ、海外で仕事してる」
レンさんは多くを語らず端的に伝えてくれる。
『ご迷惑じゃないなら、お邪魔します…』
「あぁ」
ここに住めるんじゃないかと思うくらい広いエントランスに圧倒されながら、エレベーターに乗り込む。
レンさんが押した先は…
『さ、最上階…』
非現実的すぎる光景に空いた口が塞がらない。
このマンションに着いてからずっと心の中で留めいたが、つい声にも出してしまった。
最新のエレベーターは最上階の46階まで物凄いスピードで登っていく。
到着を知らせるベルも心做しか上品に聞こえた。