【完】オキナグサに愛を込めて
───…いつか聞いたことがある。

レンさんは気に入った女の子を倉庫に入れてくれるって。


ここに集まる皆さんはきっとそれが目的。


高校1年生のわたしなんか敵わないくらい大人っぽい人達ばっかりで、無理なんじゃないかと思ってるけどいつか来るかもしれない日を夢見て今日もここへ来た。


レンさんが気に入ってくれて声を掛けてくれるなんて夢のまた夢。
そんな事があったら心臓が飛び跳ねてダンスでもしちゃうんじゃないかって思うけど、それよりもこうしてまたわたしの目にレンさんが映ってるって事実が何よりも嬉しいんだ。


人混みをかき分けて1番良く見える場所を探す。
こういう時に150cmの身長が役に立つ。

スイスイと前に進んで小さな隙間に入って倉庫の出入口が良く見える場所に来れた。

それからシホが隣に来るのを待つ。
怖いもの知らずのシホはグイグイ人を押し退けてやって来た。



知り合って暫くしてから知ったけど、シホのお父さんは怖い組の偉い人らしい。


エマは知らなくていいの〜怖いのダメでしょ?って詳しくは教えてくれ無かったけど、シホの放つオーラは時々おっかない時がある。


…ほら…今だって。殺気を立てながらわたしの隣に着いたシホはここまでくるの疲れちゃった〜ってニコニコしてる。


おっかないのはシホが敵だと判断した人の前だけで、わたしにはとっても優しくていつも守ってくれてる。
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