【完】オキナグサに愛を込めて
「倉庫ではどんな話をしたの?」
『ほとんどアキトさんが話してて、ムラサメさんの声は一度も聞いてないかな』
「エマ、サクラバさんのことアキトさんって呼んでるの?」
『あ、そうだった。わたしも最初は断ったんだけどアキトって呼んで欲しいって熱望されちゃって…』
いつの間にそんな事にと驚いてるシホに、わたしも納得する。
わたしも同じくらい驚いてるよ。
「ちなみに、レンさんのことはなんて呼んでるの?」
『レンさんって呼んでるよ!』
『で、でもね、アキトさんにレンの事はレンさんって呼ぶのに俺はサクラバさんなんだって言われてハッとしたの。わたし癖でレンさんって呼んでるって』
『だからクロサキさんって呼ぶようにしたの。そしたらレンさんにレンでいいって言われて、レンさんって呼ぶことになった』
「エマなら黒龍のお姫様になるかもしれないってわたし思ってきた」
『お姫様?』
「総長の愛する姫よ。レンさんエマのこと相当気に入ってるみたいだし」
『ないないない!ありえないよ!ただの気まぐれだって思ってるよ』
そう。これは一時の夢物語。
いつ醒めるかわからないから今だけはこの夢の中を楽しみたいんだ。