憂いにひだまり
すると、一際目立って同級生たちに囲まれている男性が居ることに気付く。
あの人って、、、優木くんだ。
優木理人くん。
彼は高校時代、成績は常にトップで運動神経も抜群、サッカー部のキャプテンをして高身長に顔立ちも整っていて、まさに完璧な男子だった。
29歳になった今でも相変わらず爽やかイケメンだなぁ。
そんなことを思っていると、周りの同級生たちが話している会話が聞こえてきた。
「優木くん、小児科の先生になったらしいよ。」
「マジ?!あんなイケメンな小児科医なんて見たことない!」
「彼女いるのかな?」
「いやぁ〜、いるでしょ!イケメンで医者で性格まで良くて、彼女いないわけがない!」
「だよね〜。彼女が羨ましい!」
へぇ〜、優木くんってお医者さんになったんだ。
さすがだなぁ。
すると「咲弥〜!」と呼ばれ、ふと見ると、勢い良く真佳が抱きついて来た。
「真佳!」
「今日は来てくれてありがとう!」
「真佳の結婚式だもん、来るに決まってるじゃん!おめでとう!」
「ありがとう!」
「咲弥には、たくさんお世話になったなぁ〜!」
「あははっ!懐かしいね!」
真佳とそんな会話をしつつ、真佳はみんなに挨拶回りをして行った。
幸せそうな真佳を目で追いつつ、わたし少し疲れてしまった為、外に出ることにした。
バルコニーのように外に出られる場所があり、わたしが窓を開けると、涼しい夜風が吹き抜ける。
「はぁ、涼しい。」
そうして外に出て、柵に腕を乗せ、もたれながら夜空を見上げた。
結婚かぁ、、、
わたしには縁のない事だから、今日は真佳にいっぱい幸せのお裾分けしてもらえたなぁ。
そんなことを思って居ると、後ろから「もしかして、、、春束?」と言う声が聞こえてきた。
えっ?
振り返ってみると、そこにはさっきまでたくさんの人に囲まれていた優木くんの姿があった。