ゆびさきから恋をする
「これってどういうことかなぁ?」
イラっとした感じで木ノ下さんに言われた「これ」は、廃液ボックスの残量が増えていることへの指摘だった。
「どうって……アルコールをそのボックスに戻したので書き直しました」
「なんでここに戻したの?」
井上さんは木ノ下さんに伝えてくれなかったのか。
「アルコールを排水に流すのはどうかなって……」
「どうかなって判断をどうして菱田さんがしたの?」
「あの、私だけが判断したわけじゃなくて……」
「菱田さんは薬品の管理とかはできないんだから勝手に変えられたら困るのよ」
木ノ下さんは私のことずっとよく思っていない。私が、というよりは派遣をだ。
「……すみません」
「とにかく、勝手なことはしないで。そもそも私に連絡しないのもおかしいし。これは直しておくから、今後は気を付けて」
そう言いながら記入した値を線で引いて訂正印を押されてしまったのだ。
イラっとした感じで木ノ下さんに言われた「これ」は、廃液ボックスの残量が増えていることへの指摘だった。
「どうって……アルコールをそのボックスに戻したので書き直しました」
「なんでここに戻したの?」
井上さんは木ノ下さんに伝えてくれなかったのか。
「アルコールを排水に流すのはどうかなって……」
「どうかなって判断をどうして菱田さんがしたの?」
「あの、私だけが判断したわけじゃなくて……」
「菱田さんは薬品の管理とかはできないんだから勝手に変えられたら困るのよ」
木ノ下さんは私のことずっとよく思っていない。私が、というよりは派遣をだ。
「……すみません」
「とにかく、勝手なことはしないで。そもそも私に連絡しないのもおかしいし。これは直しておくから、今後は気を付けて」
そう言いながら記入した値を線で引いて訂正印を押されてしまったのだ。