ゆびさきから恋をする
めちゃくちゃ機嫌悪いオーラ。そして冷たい視線でウッチーに言うのだ。
「内田、ここ綺麗に片付けとけよ」
「え!」
「当たり前だろ! 誰のせいでこうなってんだ。責任もって掃除しろ。そんで――」
グイッと腕をいきなり引かれた。
「菱田さんは着替え」
「あ、はい! えと、ウッチーごめん! あとよろしく!」
「謝罪もよろしくもいらない。早く来い」
目の前に辛辣威圧的な鬼上司降臨。後始末をひとり押し付けられて落ちこむウッチーに軽く頭を下げつつ私は苛ついている久世さんに引きづられて実験室を連れ出されて更衣室前まで送られた。
「制服……本当に濡らしちゃいました」
「いいよ、そんなの」
目の前で羽織っていた制服を脱ぐのは少し躊躇うものの返さないといけない手前どうしようもない。それでもどうしたって恥ずかしさが勝ってしまって思わず背中を向けてしまう。
「……ちょっと、そっち向いてください」
「なんで」
「なんでって……恥ずかしいから!」
「内田には見せたじゃん」
「見せてませんからぁ!」
拗ねるみたいに言われても困る! そして無駄に可愛いとか思ってしまって困る! いろいろ思って赤面する私の背後からバスタオルで包むように抱きしめてきてフッと笑われた。
「これで脱げる?」
「……」
(バックハグからのそのセリフ……無理)
さりげない優しさが、抱きしめてくれる温かな腕が私の心まで包んでいくから。胸の中に広がる何とも言えない思いを言葉に出来ない。その代わりに見上げたら首筋に触れてくる手が顎を持ち上げてそのまま口づけられた。
「んっ」
「あんまりさ、可愛い顔すんのやめて」
誰もいない更衣室前……ふたりきりの内緒のキス。
毎日の仕事が久世さんと一緒に過ごせることで甘い時間に包まれていくんだ。
~完~
「内田、ここ綺麗に片付けとけよ」
「え!」
「当たり前だろ! 誰のせいでこうなってんだ。責任もって掃除しろ。そんで――」
グイッと腕をいきなり引かれた。
「菱田さんは着替え」
「あ、はい! えと、ウッチーごめん! あとよろしく!」
「謝罪もよろしくもいらない。早く来い」
目の前に辛辣威圧的な鬼上司降臨。後始末をひとり押し付けられて落ちこむウッチーに軽く頭を下げつつ私は苛ついている久世さんに引きづられて実験室を連れ出されて更衣室前まで送られた。
「制服……本当に濡らしちゃいました」
「いいよ、そんなの」
目の前で羽織っていた制服を脱ぐのは少し躊躇うものの返さないといけない手前どうしようもない。それでもどうしたって恥ずかしさが勝ってしまって思わず背中を向けてしまう。
「……ちょっと、そっち向いてください」
「なんで」
「なんでって……恥ずかしいから!」
「内田には見せたじゃん」
「見せてませんからぁ!」
拗ねるみたいに言われても困る! そして無駄に可愛いとか思ってしまって困る! いろいろ思って赤面する私の背後からバスタオルで包むように抱きしめてきてフッと笑われた。
「これで脱げる?」
「……」
(バックハグからのそのセリフ……無理)
さりげない優しさが、抱きしめてくれる温かな腕が私の心まで包んでいくから。胸の中に広がる何とも言えない思いを言葉に出来ない。その代わりに見上げたら首筋に触れてくる手が顎を持ち上げてそのまま口づけられた。
「んっ」
「あんまりさ、可愛い顔すんのやめて」
誰もいない更衣室前……ふたりきりの内緒のキス。
毎日の仕事が久世さんと一緒に過ごせることで甘い時間に包まれていくんだ。
~完~


