ゆびさきから恋をする
「値出たので確認していただいていいですか?」

 データ結果をまとめて持ってきた彼女に値を見せられて疑っている俺はシラッとした顔をして何気なく聞いてみる。

「これさ、測定データも見せてくれる? ついでにこの前の定期分析の測定データも見ていいかな」

「え?」

 いきなり言われて首をかしげていたけれど、彼女はちゃんとファイリングしてまとめた過去データも一緒に持って来て目の前に広げて見せてくれた。

(マジでやってる)

 疑ったことを反省する。そして過去の試験結果を見ても値の精度の高さそして再現性の確かさを自分の目で確認して――認めた。

 業務で一番依頼試験件数を捌いているのが彼女だ。社員はほかの業務や案件を抱えているとはいえそれらの進捗状況が良いわけでもない。つまり他の業務に手いっぱいで依頼試験にまで手が回らないというのはただの言い訳だとわかるわけで。


(だから彼女の捌いている量が半端じゃなく多くてそれだけ仕事が速いってことだわな)


 試しに一度彼女に仕事を投げつけたら翌日には必ず報告をくれたので、仕事ができる子なのだと数週間で確信した俺は彼女に目を付けたのだ。
< 17 / 121 >

この作品をシェア

pagetop