ゆびさきから恋をする
「……何ミリとった?」

「5ミリ」

「それだと1/20じゃんか」

 プッと吹き出された。

「100mlに定容するのに1/5に希釈したいなら20ミリ」

「あー」

 空を仰いで声を上げる私に久世さんはまた笑う。

「ただの凡ミス」

「……計算苦手なんですよ。そもそも私理系じゃないし」

「これ理系とかの話? 単純な計算問題」

「頭のいい人にはわからない話なのでもういいです」

 (嫌味っぽいな! 嫌な人!)

「1/5と1/20の希釈の違い……いつも勘違いしちゃうんです」

「……どう勘違いするの」

 さっぱりわからない、といった久世さんの顔にわかりやすい「はぁ」と重いため息をこぼしてやった。

(頭のいい人には馬鹿な脳みその仕組みこそ理解できないんだよ)

「あのですね? 1/5だと20mlを取りますよね?」

「うん」

 素直に頷いてくるからもうなんだか開き直りだ。

「で、1/20だと5ml……間違えません?」

「何を間違えるのか理解できない」

「んもう!」

 それにやっぱり久世さんが吹き出す。伝わらない苛立ちを感じ取ってくれたのかクスクスと笑いながら聞かれた。

「数字が同じものを一緒にしちゃうってこと? 1/5だから5mlとっちゃうとかそういう勘違い?」

「そう!」

「それ勝手に同じ数字ってだけに囚われてるだけじゃんか。頭の中で描いてみな?」

(え)

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