ゆびさきから恋をする
 そう言ってメモ紙を取ってきて久世さんがペンを取り出すとサラサラと長方形の絵をふたつ描いて五等分された図と、二十等分された図を並べて描いて見せてくる。

「こうしたらよくわかるだろう?」

「あ……」

 当然五等分された枠は太くて、二十等分すれば細かくなる。

「100mlに対して1/5なら20mlとこれだけの量をとることになるんだから当然多くなる、つまり濃い。1/20なら5ml……それだけ薄い」

「そういうこと?」

「どういうことだと思ってんだよ」

「絵にしたらすごいわかりやすい!」

 思わず声を上げて喜んだ私にまたくすり。でもなんだろう、馬鹿にされた感じはない。

「理解するってのは大事だよな」

 (……)


 あの言葉は胸に残った。私はここの仕事をどれだけ理解して毎日作業しているんだろう。

 (言われたことをするは大事なことだけど……それだけだもんな)

 それは社員も派遣も関係ない。仕事をしている人間なら意味や理解を深めて働くことは大事なことだ。
 
 ここで五年の時間を費やした。

 経験はある、でも……中身はそこまで培っていない。

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