ゆびさきから恋をする
 すいへいりーべーぼくのふね……一度は誰もがつぶやいたことがあるだろう。

 でも結局そこまで。それが人生の中でどれほど役に立つかとそんなことはない。

 学生の時に学んだことの大半はそんなことばかり。それでもどうしてだろう。もっと真剣に学ぶ時間を大事にできなかったのは。


 大人になるほど後悔が増える、大切にすべきだった時間の意味を初めて知らされる。

 あの時は……もう戻らない。でも今はきっと……自分が求めれば手に入る。


 (今さら興味湧くとかなんなのってなるよね)


 お天気の休日。
 あまり好んで出歩かない私だけれど今日は街中でも大きな本屋に足を運んだ。

 一階は本屋併設の落ち着いた雰囲気のカフェ。豆にこだわってそうなコーヒーとショーケースに並ぶスイーツはいつも誘惑のひとつだ。一階から五階まで本屋になるビルで専門書も多い。本を読むのも好きだけどだんだん読む時間が〜なんて言い訳して読めていない。

 たまに雑誌を立ち読みするくらいしか本屋を利用していなかったからまた時間を見つけて読んでみようと新書コーナーをぶらついてエスカレーター横の店舗掲示を見上げた。

 専門書は四階、少し浮き足立つ気持ちを抱えて私はエスカレーターに乗った。
< 29 / 121 >

この作品をシェア

pagetop