ゆびさきから恋をする
 リケジョでもないし、大した脳みそも持ってない私がバカみたい。そう思われてるかなとも思うけど……恐る恐る久世さんを見上げたらフッと微笑まれて優しい声で言われた。

「変とか思わないよ」

 (え……)

「面白いけど」

 (……もういい)

 言い返すのも嫌になったのでツンッと無視したら久世さんも横で棚に手を伸ばして私には皆目理解できないようなタイトルの本を取る。横に並んで何と話すわけもないけれど、離れることもしなくて変な感じ。

 でもどうしてだろう、そばにいて嫌じゃない人……それを感じて胸がくすぐったくて。

 職場で一緒にいるのに慣れてるから? 仕事の話ばかりするから? 異性だけど、今まで絡んできた異性とは少し違う、なんだろう。

 いい意味で意識しなくてすむ、でもなんだか変に意識もしてしまう……。

 (色々読んでみたけど、これが一番分かりやすいな。私が読みたい内容だけ書かれてるって感じだし。いくらかな)

 裏の値段を確認して買える範囲と納得して第一候補に決める。棚に戻すのはやめてちょっとそばに置いて別の本をパラパラ……無心で探していたら声をかけられた。

「まだ探してる?」

「え?」

「俺もう行くわ」

 久世さんは目当ての本を見つけたらしい。
< 33 / 121 >

この作品をシェア

pagetop