ゆびさきから恋をする
念願の本を手に入れて満足感……はあるけれどそれ以上になんとも言えない脱力感。
給料日前だ、なかなか痛い出費。帰りにカフェで買った本を読んで美味しいコーヒーでも飲もうかな……そんな野望は儚く消えてしまった。
エスカレーターを降りてカフェを横目にしていたら声をかけられた。
「マジで買ったの?」
(え?)
「すげー太っ腹。そんな興味あったんだ」
ニヤリと笑われて色々驚く。帰ったと思っていた久世さんがそこにいた。
どうして? なんでここにいるの?
そんな思いはもちろんあったけれどそれよりもだ。久世さんはちゃんとこの辞典の値段を把握している。それを知ってなんだか悔しくなった。
「知ってたなら言ってくださいよぉ……」
「……なにが?」
「値段……15000円って思わなかった……」
ぽつり項垂れてつぶやいたら久世さんは黙ったままで。また出来た脳みその人にはわからないんだろうなと思ってため息混じりに伝える。
「……桁間違えてて」
「は?」
「1500円と思ったんです」
「……」
「すごいわかりやすいし私の読みたいことや知りたいことが丁寧に載ってるからすごくいいじゃん! それで他のより安いってすごくない? って思って……これだけ丁寧なわかりやすい辞書がそんな安いわけないですよね……はぁぁ、なんで気づかなかったんだろ」
「……」
「給料日前に思わぬ出費です……でも自己投資だからいいんです……」
最後なんかもうぼやきが入った独り言だ。久世さんにぼやくことではないけれど、それくらいショックが勝っていた。
給料日前だ、なかなか痛い出費。帰りにカフェで買った本を読んで美味しいコーヒーでも飲もうかな……そんな野望は儚く消えてしまった。
エスカレーターを降りてカフェを横目にしていたら声をかけられた。
「マジで買ったの?」
(え?)
「すげー太っ腹。そんな興味あったんだ」
ニヤリと笑われて色々驚く。帰ったと思っていた久世さんがそこにいた。
どうして? なんでここにいるの?
そんな思いはもちろんあったけれどそれよりもだ。久世さんはちゃんとこの辞典の値段を把握している。それを知ってなんだか悔しくなった。
「知ってたなら言ってくださいよぉ……」
「……なにが?」
「値段……15000円って思わなかった……」
ぽつり項垂れてつぶやいたら久世さんは黙ったままで。また出来た脳みその人にはわからないんだろうなと思ってため息混じりに伝える。
「……桁間違えてて」
「は?」
「1500円と思ったんです」
「……」
「すごいわかりやすいし私の読みたいことや知りたいことが丁寧に載ってるからすごくいいじゃん! それで他のより安いってすごくない? って思って……これだけ丁寧なわかりやすい辞書がそんな安いわけないですよね……はぁぁ、なんで気づかなかったんだろ」
「……」
「給料日前に思わぬ出費です……でも自己投資だからいいんです……」
最後なんかもうぼやきが入った独り言だ。久世さんにぼやくことではないけれど、それくらいショックが勝っていた。