ゆびさきから恋をする
「へ?」
 
 と、俺の声に震えた声が反応して、俺を見上げたのが声のトーンでわかった。

「もしかして、今この部屋施錠されてないか」

 技術ビルは基本オートロック管理されていて、入るときは個人が持つ社員証コードで入室する。

 この部屋はスマートキーの後付けで中から鍵を開けられないタイプになっていて、入室するときに自動ロックを解除してから入室すれば扉を閉めても勝手に鍵がかかることはない。

 しかし、停電で一度落ちたのならその解除はリセットされているのでは……と、不意に体をドアのほうに向けると服が引っ張られて掴まれていたことを思い出す。

「ぁ、や……」

 その声に一瞬息をのんだ。

(いや、ちょっと待て。冷静になれ、俺)

 自分の中の雄な部分に触れられた気がしてたじろいだ。
< 56 / 121 >

この作品をシェア

pagetop