ああ、今日も君が好き。
「柴ケンさ、あれで隠す気あるわけ?」
「は?」
あれから俺はバイト先のスーパーで見吉さんと別れて、何故かサーヤとファミレスに来ていた。
見吉さんとならまだしも何でサーヤと二人で…。
こっちは金欠でバイト三昧だと言うのに。
「だってモロ顔に出てるじゃん。ユッキーのことだーい好きだって」
「………嘘だ」
咄嗟に両手で顔を覆う。
「今更遅いよ」
サーヤはメロンソーダをストローで口に含んで吐き捨てる。
「てっきり隠す気ないのかと思った」
……いや、ちょっと待てよ。
そもそも公言してないんだけど。
「……し、てたのか?」
俺はサーヤの反応が恐ろしくて恐る恐る尋ねた。
するとサーヤは心底呆れた顔で。
「それこそ今更なんだけど」
しかも態とらしく溜息まで吐きやがった。
「マジか…」
なんてこった。
まさかサーヤにバレてたなんて…。
穴があったら入りたい。
「てか、何でよりによってユッキー?相手はクイーンだよ?リアル高嶺の花だよ?うちの大学の数少ないイケメン達ですら相手にしてもらえないのに、特別頭が良いわけでもない、身長もちっちゃい、イケメンとは程遠いどちらかと言えば可愛い系の柴ケンに勝ち目があるとは思えないんだけど」
清々しいほど言い切ってくれたな。
本当のことだから否定出来ないが。
「まあ、サーヤに出来ることがあれば協力してあげるけどさ」
「………」
「……何よ、その目は?」
「いや、だって…、いきなり協力してあげるとか言うから。てっきり俺…」
「勝ち目がないから諦めろって言うと思った?」
「ああ」
「ハッ、ナメないでよ」
ガンッと、グラスをテーブルに叩き付けるサーヤ。
「友達に好きな人がいて、その相手がエベレスト級に手が届かない高嶺の花だからって何?関係ないよ。ユッキーのこと好きなんでしょう?だったらサーヤは応援するだけだよ。諦めろなんて言わないし、相手が誰だって柴ケンの気持ちを笑ったりなんてしないよ」
「サーヤ…」
サーヤの真剣な表情と想いに驚きを隠せない。
いつもおちゃらけてるだけのサーヤとは大違いで、初めてサーヤを心強いと感じた瞬間だった。